ある高校の入試問題で興味深そうな問題が出題されていました。
しっかりと式変形のルールをわかっていないと解けないような問題です。
高校入試だけでなく大学入試でも使うような考え方になっているので、ぜひみていってください。
まずは例題から
問題は次のようなものです。
次の等式を変形したが、最後の行が間違っている。
一体どの行の変形を間違えたか、理由とともに答えよ。
例題で考えてみましょう
2x – 4 = 6 (1)
x – 2 = 3 (2)
x +1 = 5 (3)
x = 4 (4)
という式があったとします。
シンプルに(1)の式をとくと 2x=10 より x=5ですね
なのに答えがx=4になっていますね。
(1)から(2)は両辺を2で割っています。なので問題ありませんね。
(2)から(3)は左辺には3を右辺には2をそれぞれ加えていますね
等式が成り立つのは両辺に同じ数を足した時なのでここが間違っていることがわかります。
どうでしょうか、イメージできましたか?
3 = 4にチャレンジ
では本題に入っていきましょう。
次の等式を変形したが、最後の行がまた間違っている。
一体どの行の変形を間違えたか、理由とともに答えよ。
x^2 + 2x + 3 = x^2 + x (1)
x^2 + 7x + 12 = x^2 + 6x + 9 (2)
( x^2 + 7x + 12 )÷ x = ( x^2 + 6x + 9 )÷ x (3)
( x + 3 ) ( x + 4 ) ÷ x = ( x + 3 )^2 ÷ x (4)
( x + 4 ) ÷ x = ( x + 3 ) ÷ x (5)
x + 4 = x + 3 (6)
4 = 3 (7)
さあ今回の本題の4=3という式ができてしまいました。
一見おかしい変形はしてなさそうですよね
どこが間違っているかわかるでしょうか?
解答と解説
まずは例題と同様にこの問題をシンプルに解いてみましょう
x^2 + 2x + 3 = x^2 + x を整理してやれば綺麗な式になって
x = -3 という答えが出てきます。 これすこし覚えておいてくださいね
ではどこが間違っているかいていきましょう。
(1)から(2)は両辺に5x + 9 を加えています。 両辺に等しい数字を加えることは許されていますから
ここはおかしくなさそうですね。
(2)から(3)では両辺をxで割っていますね。 両辺を等しい数で割ることは許されていますが
一つ気をつけなくてはいけないことがあります。
それは 0で割ってはいけないということです。
0で割るという行為は数学の世界では許されていませんから、割る時は0出ないことを確認しなくてはいけません。
今回はxで割っていますが、先ほど求めたとおりx = -3で x = 0 ではないので、
ここも問題はありません。
(3)から(4)ですがこれはただ単に因数分解しているだけなのでOKですね
(4)から(5)では両辺を x+3 で割っています。 これも両辺を同じ数で割ることはOKですが、
0でないことを確かめなければなりません。
先ほど求めたとおりx= -3 ですので x + 3 = 0 となってしまいますね
よってここが間違っているということになります。
最後に
今回は式変形で忘れがちな割り算のルールについて触れてみました。
これは高校入試ですが、大学入試の際も等式を割る時は割るものが0でないことを確認、
または”0でないとする”と断りを入れなければなりません。
意外と忘れがちなルールかと思いますので、注意しながら取り組んでいきましょう
なぜ0で割ってはいけないのか等はまた機会があれば触れていきたいと思います。